毎月のExcel集計や社内システムへの登録など、担当者だけが知っている作業はありませんか。
自分で操作するのは簡単でも、後任向けの手順書にしようとすると、意外に時間がかかります。普段は無意識に判断している部分を、文章だけで説明するのが難しいからです。
そんな引き継ぎの方法を変える可能性があるのが、Microsoftの「Skill Recorder」です。
実際の操作からAI用の手順を作る
Skill Recorderは、パソコン上で行った作業を記録し、AIエージェントが再利用できる手順へ変換するデスクトップアプリです。
記録できる内容には、次のようなものがあります。
- クリックした場所
- アプリやウィンドウの切り替え
- アクセスしたWebページ
- 必要に応じた音声による補足
記録後に「Analyze」を実行すると、GitHub Copilotが作業内容を分析し、何をする作業なのかという「目的」と、実行した「手順の順番」に整理します。
完成した内容は、AIエージェントが呼び出せるスキルや、決められたタイミングで動かす自動化として利用できます。
引き継ぎは「書く前に見せる」へ
これまでの引き継ぎでは、担当者が作業を思い出しながら、画面のスクリーンショットを撮り、説明文を書いていました。
Skill Recorderの考え方では、まず担当者が実際の作業を一度行います。
例えば、毎月の売上データをExcelで集計し、社内システムへ登録する作業を考えてみましょう。担当者はいつもの操作を進めながら、判断が必要な場所だけ声で補足します。
「この金額が前月より大きく違う場合は、登録前に確認する」
このような補足を加えることで、クリックの順番だけでは分からない、担当者の判断も手順へ残しやすくなります。
重要なのは、すべてを完璧な文章にしてからAIへ渡す必要がないことです。まず実演し、AIが整理した内容を人が確認する。この順番なら、手順書作成の負担を減らせる可能性があります。
単なる画面録画とは違う
一般的な画面録画は、人があとから動画を見て操作を確認するためのものです。
一方、Skill Recorderは、記録した作業から目的と順序を整理し、AIエージェントが再利用できる形に変えることを目指しています。
ただし、一度録画すれば、どのような仕事でも完全に自動化できるわけではありません。
例外処理や承認が必要な作業では、AIへ任せる範囲と、人が判断する範囲を確認する必要があります。AIが作った手順も、実際の業務で使う前に人が見直すことが大切です。
録画する情報には注意が必要
Skill Recorderでは、録画や保存、画面フレームの抽出などは端末内で行われます。ただし、「Analyze」を選択すると、画面画像、ウィンドウや文書のタイトル、URL、クリップボードのプレビュー、音声テキストなどがGitHubのクラウドへ送信されます。
そのため、録画中は次のような情報を映したり入力したりしないよう注意が必要です。
- パスワード
- APIキーやアクセストークン
- 顧客の個人情報
- 社外秘の資料
- ログイン情報
企業で試す場合は、社内の情報管理ルールや利用条件も事前に確認しましょう。
なお、Microsoftの公式情報では、macOSを主な対象としながら、Windows 11のx64版とARM64版もサポートされています。現時点ではソースコードから導入する形式のため、一般的な完成済み業務アプリとは導入方法が異なります。
参考:Microsoft公式GitHub「Skill Recorder」、AI Watchの記事
まとめ
Skill Recorderが示しているのは、仕事の手順を文章だけで伝えるのではなく、実際の操作からAI用の手順を作るという新しい引き継ぎ方です。
まずは自動化したい作業を一つ選び、最初から最後まで実際に操作してみましょう。その際、機密情報を映さず、判断が必要な場所だけ声で補足します。
これからの引き継ぎは、「手順書を書く」から「一度やって見せ、AIと一緒に整理する」へ変わっていくかもしれません。


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